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アドブルー触媒は「触媒」なのか

日産ディーゼル工業が7日から大型路線バスをフルモデルチェンジして発売したという。
平成17年排ガス規制適合をターゲットとするもので、おそらく他の国産ディーゼルメーカーも追随して競合車種を販売してくるであろうが、とりあえずはハイブリッド車(日野自動車が販売)を除けば一番初めに規制適合となるバスとなる。
http://www.nissandiesel.co.jp/newsrelease/2005/0606bus.html

最近の排ガス規制対応の難しさの背景にはNOx(窒素酸化物)とPM(粒子状物質)を両方とも削減しなければいけないことにある。通常燃料を高温・高圧で燃焼するとNOxが、低温で燃焼するとPMが発生しやすくなるという「両刃の剣」というわけだ。

この問題の解決について今回の同社の対応としてはPM低減を主眼にしてまず燃料を超高圧噴射し、その結果増加することになるNOxをアドブルーを使って処理することにしているようだ。
http://www.nissandiesel.co.jp/newsrelease/2004/1007scr.html
ただ、同社はこれを「尿素SCR触媒」と称しており、説明を見る限り実際に「触媒」として機能しているような説明だが、気になるのは本当に触媒なのかという点とアドブルーの補充がコスト増を招き保守上の弱点とならないかという点である。

まず前者。本当に「触媒」であれば本来補充不要なものであるが、補充が必要という。ということは「触媒」ではなく化学反応に参加しているかあるいは定期的に取り替えが必要ということになるのかがよくわからない。尿素自体は分解すると炭素と窒素と水素と酸素でできているのでだが、どのような反応式で何が出るのかは気がかりであるし、本当の意味での「触媒」であれば尿素の形のままどこかに出ていることになり、処理がどうなるのか気になる。

次に後者、同社によれば供給体制自体は大手燃料スタンドやトラックステーション・販売会社の拠点などで確保しているようであり、正常な使用を実践できている限りでは大きな問題はおきないと思われるが(当然のことであるが)、万が一意図的にアドブルーを切らせて使用するような不正な使用方法ができたとするとせっかくの技術も生かされないことになる。

5年後に予定されているさらに厳しい排ガス規制が2009年に予定されているが、この規制には補充不要の技術により対応できることを期待したい。

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コメント

はじめまして。

Urea-SCRは尿素水の補給の問題もありますし、尿素水タンク・噴射装置・前後の酸化触媒が必要でシステムが大きく重く、アンモニア漏出の恐れもあり、新長期規制程度の対応でこれを使うのは安易な技術的妥協だと思いますね。ポスト新長期なら分かりますが。

いすゞはVGSや2連クールドEGRなど、燃焼制御の改良で新長期対応の方向ですから、技術的にはこっちの方が上かと。

投稿: P307HDi | 2005.06.09 12:23

こちらでははじめまして。仕事上工業的な脱硝プロセスを勉強したことがあるので差し出がましいようですが補足を。
NOxは主にNO2とNOから出来ているのですが、これを窒素にするには「還元」という電子を与える操作が必要になります。NOxに電子を与える「還元剤」が尿素やアンモニアになります。アンモニアは少々扱いがやっかいなので、尿素水がよく利用されてます。(これは乾式法のやり方ですが、湿式法では、吸収塔にアルカリとチオ硫酸という還元剤を使って脱硝します)
この反応は、ある一定の条件を満たさないと起こりにくいので、「触媒」を使って起こりやすくしています。触媒がないと反応が起こらないんです。しかし、触媒だけでは、還元する能力は無いのです。
ガソリン車に使われている三元触媒も、実は排ガス中のHCやCOを還元剤にして脱硝をしています。

投稿: そめ | 2005.07.03 20:14

はじめまして

日産とか三菱は尿素水の補給の問題もありますね、尿素水タンク・噴射装置・前後の酸化触媒が必要でシステムが少し場所とってますが、尿素漏出の対策とかはよさげですね、新長期規制程度の対応でこれを使うのは安易な技術的妥協だと思いますが、いすゞさんとはそれすらできません。

いすゞとかは、燃焼制御の改良しているようですが、不完全燃焼部分多めだから技術的にはもうちょっとがんばってもらいたい。


投稿: inoki | 2009.01.24 22:59

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